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欧州金融危機について2(短期金融市場の観点からの続き)(2011/11/25)


更新日:2011年11月25日(金) 

※深い考察は控えておいて、、、現状起きている事実を中心に取り上げています。

注:この記事は前回からの続きの内容となっています。
前回の記事をお読み出ない方は、欧州金融危機について1から、ご覧くださると分かり易いです。



<MMFと欧州金融機関>
(前回からの続きです。)
前回は、欧州金融機関が短期の資金調達に喘いでいるというのを、「Libor - Ois スプレッド」 という指標を参考に取り上げましたが、それではなぜ短期の資金調達に困ってしまう事態になってしまったのか、についてMMFを取り上げてみたいと思います。


まず確認したいのは、金融機関にとってのMMFの役割です。

LIBORを利用して短期資金調達も行われているのですが、欧州の金融機関にとって、MMFも短期資金を調達するための場として活躍していました。


企業に貸し出すための原資は、通常、私たち国民や一般企業が預けてくれる預金から出すものです。銀行本来の仕事を想い浮かべるとイメージしやすいと思います。お金を預けてもらって、そのお金を他の誰かに貸し出す。貸出利息と預金利息の差額が銀行の収益となる。
日本の銀行だったら、これが普通です。


しかし、欧州金融機関はその預金の割合が小さくて、MMFのような短期金融市場から資金調達する割合が大きいんです。(コマーシャルペーパー、つまり短期社債を発行して資金調達してます。)


JPモルガンのアナリストの話によると、
欧州金融機関は、調達資金全体に対して5〜15%ほどを、MMFなどの短期金融市場に依存して資金調達を行っているとのこと。
それでは預金割合の依存度はどのくらいかというと、フランスの代表的な金融機関であるソシエテ・ジェネラルの場合、調達資金全体に対して45%程度。ドイツのコメルツ銀行ですと37%程度。と他国に比べると依存する割合は低いです。

この調達資金全体に占める預金割合の数値についてイメージを深めるために、日本の金融機関の場合を上げますと、、、、、預金に頼る割合70%を超えています(2009年末時:各国資金循環統計より)。相当なお金余りということです、余ったお金はどちらに向かってるかというと、こちらのコラムを参考に。(円のLibor - Ois スプレッドが上昇していないのは、このような理由にあります。資金不足ではないんです。)




<MMFが駄目⇒金融不安が走る>
 このような中、南欧諸国の国債の格下げやデフォルト懸念(2011年7月〜8月)で、金融機関の財政状態の悪化が懸念されました。ギリシャ国債を持ってたりすると、実質的には不良債権と判断してもおかしくはないので、損失計上しなければなりません。

こうなるとMMF側からすれば、「欧州金融機関の中に破綻するところも出てくるのでは?そんなところに投資していたら、出資していただいている顧客を不安にさせてしまう。欧州金融機関への投資割合を減らそう!」となりますね。(参考例・ロイター:米MMF、8月に仏系銀行発行の保有証券を縮小

こうしてみるとMMFが手を引いたのが悪く映りますが、MMFの最大目標は元本の維持にあるので、運用方針に従っての行動だったようです。
(参考コラム:MMF(マネーマーケットファンド)

米MMFは、一部の欧州金融機関の資金調達には応じず、手をひきはじめました、、、

次ページ「欧州金融危機について3」へ続きます。(次の内容はシステミック・リスクに入っていきます。)






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