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欧州金融危機について3(短期金融市場の観点からの続き)(2011/11/26)


更新日:2011年11月26日(土) 

※深い考察は控えておいて、、、現状起きている事実を中心に取り上げています。


注:この記事は4本立ての内容となっています。
はじめから読む方は、どうぞ「欧州金融危機について1」から、ご覧くださると分かり易いです。



<欧州金融機関とシステミックリスク>
前回は、欧州金融機関が短期資金調達目的で利用していたMMFが利用できなくなってきた、というお話まで進めました。話を続けましょう、、、

これで困ったのは欧州金融機関全体でした。


短期の資金繰りは、MMFを活用してきたので、非常にかつ急ぎで困ることになります。
すぐにでも、もしものときのための十分な手元資金を確保しておく必要があります。


このとき考えてほしいのは、これまでMMFに短期資金を頼っていた金融機関にのみ緊張が走るわけではないという点です。


どういうことかと言いますと、

MMFに頼っている金融機関(例えばA銀行)にお金を貸し付けている金融機関(例えばB銀行)も、さらに下図のように次に控えている金融機関(例えばC銀行)も置かれてる状況は同じです。

     

 図を見てみますと、、、A銀行が、通常時のようにMMFから資金調達出来ていれば、BやC銀行に迷惑をかけることなく、経済活動はスムーズに行われます。しかし、もしも非常時のようにA銀行がMMFから資金調達できなければ、BやC銀行にも被害が及びます。

この連鎖的に起こる金融システムの崩壊をシステミック・リスクといいます。
(参考:日銀のHP「システミック・リスクとは何ですか?」



システミック・リスクに組み込まれてしまっている金融機関はみんな慌てます。

上昇しているLIBORは、この金融システムの危険性を織り込んで上昇しています。
『貸し出した先がもしかしたら破綻するかもしれない。』という不安から、通常時よりも貸し手が減少しているという見方ですね。


※このシステミック・リスクは、個人的にもイタリア国債の利回りが上昇したあたりから、現実問題として対処するようになりました。イタリア国債の発行規模は何しろ2兆ユーロを超えてますので、、そのインパクトたるや、すぐにでもこの国債価格の下落防止策を講じる必要があります。
またその後のニュースで、ファンド勢が完全売却したと知り、いよいよリスクが高まってきていると感じています。こうなるとスペインは当然としても、フランス国債や、最悪ドイツ国債まで手がまわってくると、ちょっとやっかいですね。(ドイツに国債の札割れが起きたみたいですね。)
ドイツは抵抗の姿勢を崩しませんが、ECBも国債を大胆に買い入れざるを得ない状況かなと感じています。

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