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通貨選択型ファンドのメモ・高分配の秘密その3


更新日:2011年11月19日(土) 
※このコラムは3部構成となっています。その1はこちら


<通貨選択型ファンドのまとめ>
通貨選択型ファンドはスタート地点が大成功だったように思います。

   

(高リターンを支えた二つの収益は高く評価)
@利回りの高い債券・株式・不動産など
 結果だけ見ると、米国社債は量的緩和(お金を市場にじゃぶじゃぶ流す)が始まる2008年末が絶好の買い時でした。あの資金流入で金融機関は資金ショートの恐怖から一時のがれることができましたから、また政府の財政支出も企業業績を後押ししてくれました。
結果、安値で放置されてた米国社債に買いが集まってきて、大きなリターンを生み出しました。

A為替予約取引
 また為替予約取引についても、新興国通貨が大幅に安値で放置されてたことが大きいと思います。これも新興国通貨の絶好の買い時でした。さらに量的緩和が始まれば、多額のドルが市場にじゃぶじゃぶ溢れることになります、ドル安新興国通貨高へと進み、さらに米国新興国の金利差に目をつけた金融機関・ファンドといった機関投資家がその流れに拍車をかけてくれました。(もっと言うと、私たち日本の個人投資家がさらなる拍車をかけています。)

始めるタイミングが良好だっために、大きく成功したのだと思います。
(ただし、成功していない通貨もあります。ブラジルレアルが最も成功しています。)


Bオマケ
 通貨選択型ファンドは長期投資目的のファンドではありません。それは高収益の仕組みを作った運用会社が最も理解していることです。償還日の時期が比較的短いのもその表れで、ある程度利益が出たら、頃合いを見計らって売却するのも一興です。



(投資の際の注意点)
通貨選択型ファンドはリスクが大きいと巷で言われています。

これは全くその通りで、@利回りの高い債券・株式・不動産などは破綻する恐れの高い国や企業に投資しているとのことなので、利回りが大きくなっています。破綻する可能性は基本的には高いと考えた方が良いようです。

また、A為替予約取引についても、とくに高金利差のある選択通貨には、多大な投機資金が流入しやすいです。それは、プロの機関投資家が目を付けているためです。
よって、市場が一時的な混乱を迎えると、株式も為替も同時暴落するキャピタルフライト(資本流出)に巻き込まれるのが通例です。
これに耐えられない人たちの解約が殺到し、下落に拍車がかかる恐れがあります。
怖いのはこの一連の流れが現実となったときですね。投資のタイミングには十分な注意が必要です。


(最後に・・・)
通貨選択型にかかわらず、キャピタルフライトには注意が必要です。具体的には、2008年のような危機がもう一度訪れた場合でしょう。

※2008年のような危機は訪れてほしくないですね。危機は、需給の世界をぐちゃぐちゃにし、世界のパワーバランスの崩壊につながります。パワーバランスの崩れは、強制的に需要を作り出せる戦争を生み出しかねない、、、、、そこが最も怖いところです。



※補足1(2011年12月6日更新)

☆ ドルの長短金利差という視点について・・・(参考レポート:複雑化する金融商品と高齢者
 通貨選択型ファンドの原資産は、もっぱらドル建て資産です。
このドル建て資産に何が当てはめられるかというと、債券が主流です。(今ではREITも株式もありますね。)

債券の場合で話を薦めます。
例えば、もしもドルの長短金利(国債を想定)が次のような関係になるとどうなるでしょう。

『短期金利が上昇して、長期金利が下落する。』

こうなると、通貨選択型ファンドが投資しているドル建て資産の価格は下落する恐れがあるんですね。
長期金利が下落する(長期国債の値上がり)のなら、ドル建て資産をすぐに売却して、長期の債券を買った方が、国債の値上がり益を得ることができるから、、というのが教科書的な理由です。

通貨選択型ファンドに投資する場合に、この、
「ドルの長短金利差」という視点も加えると面白いかもしれません。






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