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日本政府の借金(国債)とデフレ


更新日:2011年11月14日(月)

 日本の借金の多さについては、テレビのニュースや新聞等で見たことがあると思いますが、いまや国債に地方債等を合わせると、1000兆円を超えるまでになっているようです。これは日本のGDPが約500兆円と考えると、GDP比で2倍を超える数値です。

「日本もギリシャのようになってしまうのではないか?」

そんな言葉も、たまに聞かれますが、これはギリシャと日本の経済構造などの諸条件を考慮せずに、ただ債務の大きさから、イメージで比較している言葉です。ギリシャと日本では前提条件が違うので比較するのは難しいですね。(※財政状態を見ても、日本はまだ致命的状況とは言えないと思います、最下層の補足を参考。)



日本の借金、つまり国債や地方債等の日本政府が発行している債券が、なぜこんなにも膨らんでしまったのでしょうか。

下のグラフは「家計の金融資産(私たち国民の保有している金融資産)」と「日本政府の国債・地方債等」の金額の推移をあらわしたものです。

     

1985年から2009年までのデータをもとに作成しました。(内閣府HP〜国民経済計算確報より〜
青色が家計の金融資産、赤茶色が政府の国債(地方債等含む)です。


@平成バブル時(1985〜1990年) (お金のめぐり:銀行 ⇒ 企業)
 この頃は国債の発行額が増えていませんが、家計の金融資産は増えています。国がお金を出さなくても経済が回っていた頃の時代です。バブルで増え方が半端ないですね^^;
(企業が借金をして、お金のめぐりを良くしていた時代です。)


A平成バブル後その1(1991年〜1998年) (お金のめぐり:政府⇒国民)
 不動産バブル崩壊後に、痛手を負った企業とその不良債権化を怖がる金融機関ではお金を回せなくなってしまいました。極度にお金回りが悪くなってしまったことから、政府が国債を発行して、世の中にお金のめぐりを良くしようとした(財政出動して経済を助けた)時代です。
政府の国債等発行額が右肩上がりになっているのが確認できますが、同時に家計の金融資産も増えているのが確認できます。(政府が流したお金が企業を経由し、給料となって家計の金融資産を増やしている。)

ここでは政府が使ったお金が国民に流れていると考えるのが普通ですが、国民自体がお金を使うのを控えた可能性もあるのかもしれません。


B平成バブル後その2(1999年〜2009年)
 この頃からグラフのパターンが変っています。政府の国債等の発行額は依然として、右肩上がりを続けていますが、家計の金融資産が連動しなくなりました。1997年の消費税率アップを始めとした緊縮財政の影響が大きいと思います。(当時の首相だった橋本龍太郎さん自身も、「あの増税は間違いだった。」とおっしゃています。)


<気になる点>
1998年までは、「日本政府の借金」と「家計の金融資産」が連動して増えていました。
しかし、1999年からは連動しなくなっています。日本の経済構造がこのタイミングから変化した可能性が大きいです。

その要因のひとつにあげらていれるのが増税であり、結果何が起こったのかというと、それはデフレと言われています。(一般にデフレが始まった言われるのは「この時期だ。」と言われています。)

政府がいくらお金を流しても家計の金融資産に流れていかない。企業の方に流れているのではないか?と思ったのですが、2005〜2006年頃に一時的に増加しているものの、それ以外はデータからそれと読みとれる数値は確認できませんでした。(この頃の企業は外需で稼いでいたこと、株式市場が活況を迎えていたことの影響が大きいです。)

※2005〜2006年にかけて家計の金融資産が増えているのは、株式市場の活況によるものが大きいです。



<まとめ>
 お金めぐりの悪さを見ると、日本政府の借金の増加は今後も続くことが見こまれますが、お金めぐりの悪さが起こったのは1998年の頃からです。日本を駆け回るお金の回り具合がおかしくなっており、これをデフレと捉えることもできますし、高齢化などの人口構造に理由を求めることもできそうです(高齢者がお金を取り崩しはじめた。)。

ただ高齢者がお金を取り崩せば、そのお金は回りまわって企業や家計の給料へと流れていくはずなので、やはりデフレの影響、お金めぐりの悪さが大きいと思われます。
お金はあるのだけれど、日本の世の中をチビチビとめぐるような構造になってしまっているのでしょう。(結果物価は下がる。)


日本政府の借金の心配よりも、このお金めぐりの悪さを解消することが先であると思います。

それは私たち国民も潜在意識で気付いているのかもしれません。
というのも、「このお金めぐりの悪さに付き合っている必要はない。」、、そう判断して預金から投資へと振り向けている方が増えてきているからです。

お金めぐりの悪いところ(銀行・郵貯)に置いておくよりも、必要としているところに振り分けていく、、、その結果、日本の経済構造がより好ましい方向へと修正されれば嬉しい限りですからね。


※いま日欧米と先進国がこぞって、増税などの緊縮財政へと走ろうとしています(2011年11月末)。日本の1998年の頃のようにならないことを祈っていますが、どうなるかはわかりません。ヨーロッパは特に心配しています。(自分が新興国投資比率をあげているのは、こういう点も理由です。)


<※補足>
日本政府の借金(公的債務等)が1000兆円近くあるのは事実です。しかし、日本政府は借金ばかり負っているわけではありません。

例えば、、
2009年においては金融資産として500兆円、非金融資産として470兆円計上されています。
当時の日本政府の負債は、その他の借金を含めて1020兆円でした。
この場合、資産と負債の差額、つまり財産と借金の差額は2009年当時でおよそ50兆円です。
2011年、この金額にいくらか上乗せされていますが、早急に国家が破綻を起こす危機的状況ではないようです。



 

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